Fulham 1-2 Tranmere Rovers (FAカップ第5ラウンド)
2000年1月29日 観客13,000人

FAカップの盛り上がりを体験したくなり、ロンドンのクラブ、フルハムFCの試合に行く。



お菓子のお家といったフルハム・クレイブン・コテージのクラブハウス。実におつな佇まい。コーナー脇にあり、ここのクラブハウスから選手がピッチに入場してくる。



クラブハウスを右に折れると、メインスタンド入口の粋な佇まい。



フルハムファンの溜り場のパブのひとつ、ゴールデン・ライオン。試合日はフルハム・サポーターの常連だけが入店を許される。前日に入手したゴール裏のチケットを見せても入店を拒まれてしまった。トラブル回避のためにチェックは厳しい。



フルハムのクラブ・ショップに行ってファンの集まるパブを訊ねたものの、中々相手にしてもらえない。
途方に暮れていたところ、「ついてこいよ!」とゴールデン・ライオンに連れて行ってくれた粋な男が写真左端のクリス。店では一族が一杯やっていた。

「よくフルハムまで来てくれた!」とあつく歓待していただいた。一族水入らずのところを失礼し、同じテーブルで一杯いただいた。
一族はロンドンから100q北のノーザンプトンに住んでいるが、写真右端の親父様がフルハムで生まれ育ったため子供も孫も全員フルハム・サポーター。ホームゲームは毎試合一族で駆けつける。

フルハムは4部から一年毎に昇格し、当時は2部の最初のシーズンで、プレミアリーグ昇格へのプレーオフ枠まであと少しの位置にいた。

「じっくりやってくよ。金持ちのオーナーが就いて一安心だ。フルハムは子供ファンをとても大事にしてくれる。外国人はウェールズ代表やカナダ代表がメインの選手かな。フーリガン?やめてくれ。もう、そういう連中はスタジアムには入れない。警察が完璧にコントロールしている。今日は3-1で勝つ!」

パブはフルハム・サポーターで溢れかえり、プログラムの売り子もやってきた。パブを見回る警察官とジョークを交わし、クレイブン・コテージへ向かう。



クリス一族と共にゴール裏へ。試合前のハマースミス・テラス。なんと、ビールも売っている。すぐ脇を流れるテムズ河からの寒風に、ステンドの隅に捨てられた大量のプラスチックのコップがガラガラ音を立てて渦巻いていた。タフな雰囲気を予想していたが、ハーフタイムには観客参加のPK大会もあり、スタジアム全体の和やかさに驚いた。



充分に迫力が伝わり視通も快適なハマースミス・テラス。試合中は歴戦の猛者、クリスの親父様のスーパーチャント(滅茶苦茶なヤジ)が響き渡ったのだった。

対面にはリバプール近郊の町、同じく二部のトランメアのサポーターが陣取る。ものすごいロングスローからヘディング一発で先制されてしまったフルハム。追いついたがカウンター攻撃を喰らって万事窮す。

FAカップ、ホーム試合の敗戦にクリス一族は最後まで私の面倒を見る気力は残っていなかったようだ。お礼を言って、地下鉄へ。駅に着いた時点でユニフォーム姿の乗客は一人としていない。改札での厳重警戒に気を使いながら宿に戻る。



※この頃、すでにフルハムはこの場所に30,000人収容の新スタジアム建設の予定があり、パース図まで発表されていた。
最近の映像を見るとテラスを椅子席に改修しただけのようである。