Oxford United 0-4 Preston North End
(イングランド3部リーグ) 火曜日の夜にも3部と4部の試合がいくつか行われることを新聞で知る。ロンドン近郊ではオックスフォード・ユナイテッドがホームに北部の名門、プレストン・ノース・エンドを迎えることになっていた。 スコットランドへは行くものの生憎イングランド北部まで回る余裕はなかったので、せめてプレストンの試合でも見てみるかと、お昼近くにロンドンを発つ。 プレストンはイングランド・リーグの初代王者、同年FAカップの覇者で、「無敵」と呼ばれた当時のプレストンに勝利を収めることは他のクラブにとって何よりの名誉だったという。今のマンチェスター・ユナイテッドのような存在だったのだろうか。 お昼にバスでロンドンを出てオックスフォードに着いたのが2時。試合開始は19:45である。観光をする気もなく、時間潰しに床屋に入ったが15分で散髪は終わった。 市街から5km程離れたオックスフォード・ユナイテッドのホームであるマナー・パークを目指し、歩く。マナー・パークの事務所でチケットを求めると、若い職員は聞き取り不能の発音で「ぷれしゅとんのファンだったら、アウェー側のしゅたんど入り口でお求めくだしゃい。」と教えてくれた。 無防備な敷地内をアウェー側に向うと、先は鉄冊で閉鎖されている。スタンドに清掃夫がいたので、チケットの事を訊くと、「表にでっかいクラブ・ショップがあっから、そこで買えばいいんだねか?」と言う。行ってみると「スタジアムでお求めください。」という事で、全くワケがわからなくなってきた。 咄嗟にクラヴァン・コテージの回転木戸のテーブルに山積みの現金があったのを思い出した。余程の混雑が予想されない限り、当日の現金払いで充分間に合うということなのだった。 彼等は溶けたチーズをのせただけのチップス(粗末!)をあっと言う間に食い終わると、ガブガブとビールを飲み始めた。特にアウェー・ファン向けのパブではないようだが、結構な数のプレストン・サポーターが集まり、店は熱気を帯びてきた。プログラム売りや巡回の警官が顔を出し始め、キックオフは近い。 マナー・パークは観客収容数9,000人の小さなスタジアムで、ここだけ屋根が無い。真後ろからここのプレストン・ファンを野次る幼い声がした。振り向くと、オックスフォード・ファンの子供達が木によじ登り何やら叫んでいる。きっとこの程度の雨降りは気にならないのだろう。 淡々とした選手紹介のアナウンス、シトシト雨の向こうに場内のざわめきが聞こえる。100年以上昔は「無敵」と呼ばれたクラブが、2000年にはこの地味な舞台で3部の試合を戦う。 プレストンはこのシーズン、2部に昇格したと思う。 この試合のプログラムにはオックスフォード・ユナイテッドが別の場所に16,000人収容のスタジアムを建設する記事があり、2001年に新スタジアムに移転をしたものの、リーグ成績、集客ともに芳しくなく、片方のゴール裏スタンドが未着工のままだという。今は4部リーグを戦っている。 |